つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年師走の読書感想文⑨ 現代語訳 史記 司馬遷:著 大木康:訳・解説 ちくま新書

何かの周期で中国書が読みたくなります。

しかし原語では読めないので、現代語訳に頼ります。

 

現代語訳 史記 司馬遷:著 大木康:訳・解説 ちくま新書 個人蔵

 

 

よーく出てくる司馬遷の「史記」です。昨今では漫画でここに描かれている時代があり、一気に親近感や興味が湧いてきます。

 

本書は現代語訳ではありますが、ダイジェストになります。

こうなると最初から最後で読み通したい気持ちがあるのですが、中々そういう書に出逢うことが出来ていません。しかしながら、本書は史記の魅力をたっぷりと伝えています。

 

史記は歴史の記録でありながら、思想や文明などを学ぶことが出来る総合書籍に思えます。記述されている期間が長いことも魅力のひとつですが、ここに出てくる人物が後世になって活きてくるのは、やはり史記の功績が大きいのではと思います。ここに綴られている文字を追うことで、初めて認識や評価というものが伝わってきます。正しく知ることは時間がかかるかもしれませんが、これからの時代にも通じていくことを吸収するには、この書は過不足ないものだと個人的には信じています。反面、今も昔も、人間の業の深さというのは変わらないのだなという絶望感も生まれます。

 

 

よく自己啓発の本に、中国思想を取り入れたものがあります。

自己啓発はいろんなものでそのメソッドを語りますが、本来はそんなことを意識しなくてもいいのではと思うのです。

 

自己啓発は大事です。しかし、「煽られて」行うものではありません。

それは自発的に行われるべきもので、触発されてしますと違う方向に行ってしまいます。

史記には人間の愚かさと聡明さが描かれています。先人に想いを馳せることで自身の活力につながります。そうして明日に踏み出していけばいいのではないかと、わたしは思うのです。