つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年11月の読書感想文③ 江戸の怪談がいかにして歌舞伎と落語の名作となったか 櫻庭由紀子:著 笠間書院

櫻庭さんによる落語本、第2作です(だと思う)。

 

江戸の怪談がいかにして歌舞伎と落語の名作となったか 櫻庭由紀子:著 

笠間書院 個人蔵

 

 

この方の落語本はかなり濃厚で、勉強になります。

 

本書では江戸の四大怪談である「四谷怪談」「皿屋敷奇聞」「牡丹灯籠」「累草子」に触れて解説。その他化けて出るものとして「狐」といった対象や、幽霊に関しても触れられております。

 

落語で怪談を聴いたことはまだないのです。

寄席に通えば聴けるチャンスがあるかもしれません。

イメージとしては何となく講談という気がしていますが、落語や歌舞伎が真骨頂のようです。

 

 

また、普段では目を向けない「怪談の発祥」にも心を砕いていることが、単純にすごいと思います。歴史を紐解くというのは、地味で時間のかかる作業に思います。そして何よりも考えることに時間を費やすイメージです。そこから見えてくる「当時の心情等」は、時には人を「縛る」ものになるかもしれません。現代にまでこういった話が残っていることをどう思っているのか、知ることは難しいですが、噺として触れることで、わたしたちは日本人たる何かを再確認することが出来ているのではないかという根拠のない自信を持とうとしている。

 

 

話すことが何かと軽んじられているような気がする昨今ですが、話すことに重きを置かれる落語に身を委ねて、怪談をはじめとした、様々な演目に心を寄せたいなと思いました。