つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年3月の読書感想文③ 昨夜(ゆうべ)のカレー、明日のパン 木皿泉:著 河出文庫

ベストセラーになったと記憶していますが、やっと手に取りました。

 

昨夜(ゆうべ)のカレー、明日のパン 木皿泉:著 河出文庫 個人蔵

 

作家さんはご夫婦の脚本家とのこと。はじめて知りました。

 

で、肝心の作品は25歳で亡くなった旦那さんがいて、残されたお嫁さんと旦那さんのお父さんが、亡くなった旦那さんの人間関係に触れながら、旦那さんがずっといなくなっていくことを受け容れていくというもの。どこか昔の日本映画のようです。

 

本作は山本周五郎賞にもノミネートされたそう。

ということは、心の動きといいますか、心情の機微というものが見事に描かれているのだと推測できます。最近では洋画でもそのような映画は増えてきましたが、感情や心情を上手に表現する(文章でも映像でも)のは、日本人が長けているように感じます。何度も読んで、何度も味わう。今はわからなくても、あとから少しずつわかってくる。そういった味のある作品ではないかと感じています。