つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年3月の読書感想文⑩ 全部ゆるせたらいいのに 一木けい:著 新潮社

何とも身に刺さるタイトルです。

 

全部ゆるせたらいいのに 一木けい:著 新潮社 個人蔵

 

全4篇を収録。

 

主軸に父親のアルコール中毒があります。

その親が悪い方向へ影響し、子供は苦しみます。

こちらも読んでいて苦しくなる内容で、本書のタイトルが諦めのような感じに聞こえてきます。

 

決して気持ちのいい話ではなく、実際にはあるであろう世界を、本意ではないが見てしまっているという気持ち。こういう環境が身近にあることを確認していないが、そういった環境がどこかにあるのは確実で、何とも後味というか、すっきりしなくなります。

 

この物語には愛があります。いや、あるのかもしれません。

それと同等に、癒えないものがあります。ゆるせないものもあります。

赦せたらどれだけと思った、読後の自分でした。