何とも身に刺さるタイトルです。
全部ゆるせたらいいのに 一木けい:著 新潮社 個人蔵
全4篇を収録。
主軸に父親のアルコール中毒があります。
その親が悪い方向へ影響し、子供は苦しみます。
こちらも読んでいて苦しくなる内容で、本書のタイトルが諦めのような感じに聞こえてきます。
決して気持ちのいい話ではなく、実際にはあるであろう世界を、本意ではないが見てしまっているという気持ち。こういう環境が身近にあることを確認していないが、そういった環境がどこかにあるのは確実で、何とも後味というか、すっきりしなくなります。
この物語には愛があります。いや、あるのかもしれません。
それと同等に、癒えないものがあります。ゆるせないものもあります。
赦せたらどれだけと思った、読後の自分でした。