つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年4月の読書感想文⑧ 死んでいない者 滝口悠生:著 文春文庫

滝口さんの名前には見覚えがあり、過去に読んだことがあったかな?と思って過去記事を検索しましたら、別作品ですが読んでいたようです。

 

maruyamabase.hatenablog.jp

 

今回はタイトルに惹かれ、こちらを読みました。

 

死んでいない者 滝口悠生:著 文春文庫 個人蔵

 

第154回芥川賞受賞作品となり、文庫化にあたり「夜曲」が併録されています。

 

このタイトルですが、読後にわかったことですが、ふたつの意味がありました。

 

ひとつは「死んでそこからいなくなった者」

もうひとつは「まだ死んでおらず生きている者」

 

この物語は、死を境界線としたとある親族の話で、生と死、それぞれの側の記憶が親族の口からもたらされる、かなり「うまい」作品になっています。また、誰もが経験しているであろう、通夜を舞台にしたことも、読者側にも現実味を帯びさせます。

 

故人への想いはどのように紡がれているのか、是非一読をおすすめします。