つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年4月の読書感想文⑫ 木々は歌う D.G.ハスケル:著 屋代通子:訳 築地書館

木に関する本は日本でも数多く出ていますが、海外のそれは特徴的なものが多く、吸い寄せられるように手が伸びます。本書はジョン・バロウズ賞を受賞したとのことです。

 



D.G.ハスケル:著 屋代通子:訳 築地書館 個人蔵

 

 

まずジョン・バロウズ賞については以下を参照します。

www.johnburroughs.site

 

ネイチャーライティングに贈られる、最も権威ある賞とのことです。

 

副題に「植物・微生物・人の関係性で解く森の生態学」とあり、木に限らず木の周辺を幅広く捉えた画期的な書となっています。

 

本書は日本にはいないであろう木の種類を取り上げ、独特な(詩情豊かな)文章で書かれています。今思いましたがまさしく「歌って」いるようです。そういう意味では、学問書というよりは「抒情詩」や「自由詩」にも感じ取れないかと思ってしまいます。

 

だからと言って詩的な表現に任せきるのではなく、しっかりと「観察」を重ね、丁寧にまとめられています。研究にも近い結果としての文章は、読者に大きな示唆を与えます。それは知らなかった実態であったり、未来への可能性であったりします。木を通して森をもっと知るための、大いなる一歩だと感じることが出来ます。

 

 

ネイチャーライティングの代表作(個人的)はやはりレイチェル・カーソンかなと思います。が、近年はその礎を基に大きな広がりを見せています。頑なになるつもりはありませんが、寄り添うようにしてこの分野に取り組み、今後の人生に彩りをつけていきたいなと思いました。