つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年繫忙期の読書感想文⑤ 植物と叡智の守り人 ロビン・ウォール・キマラー:著 三木直子:訳 築地書館

アメリカ先住民である著者による、ジョン・バロウズ賞受賞後に発表した作品です。

 

植物と叡智の守り人 ロビン・ウォール・キマラー:著 三木直子:訳 築地書館

個人蔵

 

植物とその伝承を土台とした、科学・癒し・伝承を語り残したものとなります。

本作で取り上げている植物は「スイートグラス」というものですが、そこから自然と人間の関係のありかたを考え、語っていくというものです。

 

本書はかなりの厚みを持っていますが、構成はスイートグラスの種を植えるところから始まり、収穫して実生活に活用する(編むと燃やすの章がある)という、いわば1年間のサイクルを辿る形で語られています。

 

民間伝承は特殊な環境における自然等とのつながりを記録したものになるので、とても貴重であることは明白です。日本にもそういった伝承はあるはずで、近代化の波にのみこまれてしまったものも多くあると思いますが、そういったものは本来なくなってはいけないものだと考えています。

 

過去、大震災が起きたときに向けられたのは、先人が生きて残した「伝承」でした。

過去の記録は、現代の人を大いに活かします。これを忘れてはならないのです。