移住が絡んでいた時期に気になっていた一冊。現在は移住6年目ですが、いつからここを「フルサト」と呼んでいいのか悩んでいます。
フルサトをつくる 伊藤洋志(いとうひろし)×pha(ファ) ちくま文庫 個人蔵
熊野でシェアハウスをつくった実体験をもとにした具体案を載せた、フルサトに関する新しい考え方の提案書になっています。
フルサトのイメージは「生まれ育ったところ」ですが、近代のフルサトは「生活し定着するところ」となっている気がします。結構「第2のフルサト」という言い方がされているのは、そういった理由からなのかなと思います。
ここでは、フルサト(生活拠点)をつくるために必要なこととして、ピックアップされた項目で章を結んでいます。それらを押さえると、その場所がフルサトになるかな?という具合です。ただ忘れてはならないのは一朝一夕で出来上がるものはなく、そのどれもが比較的中-長期で見ていかなくてはならないものだと考えています。
生活の仕方は自由であっていいと思います。二拠点生活という言葉もあるくらいです。
しかし最低限必須なのは、住む場所に置いての、近隣とのコミュニケーションになります。都会はそういった部分が希薄になっていて、特別必要性も感じませんが、地方はその逆です。その場所で肩身が狭い思いをしてしまわないように、自分の顔を知ってもらい、相手の顔を憶えておくという行為は必要不可欠になると思います。
フルサトは、いきなり出来上がるものではなく、ひとつずつ積みあがっていくものです。そこに面倒くささを感じてしまうのならば、いっそやめたほうがいいのだろうなと思いました。