つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年6月の読書感想文⑨ 海うそ 梨木香歩:著 岩波書店

梨木さんの作品は独特の味わいがあります。

その影響でつい、手が伸びてしまうのです。

 

 

海うそ 梨木香歩:著 岩波書店 個人蔵

 

 

読後の感想としては、「蟲師」に似た世界があるのかなというものでした。

南九州の遅島における物語は、自然や歴史、この土地における文化(信仰)をつまびらかにした印象が強くあります。人文地理学というなかなか見慣れない学問があるのだということだが(自分はその学問を知っていたが履修はしていない)、それは伝統というなかなか目に見えてこないものを可視化していく作業なのかなと思った。わたしたちはつい新しく流行るものにしか目がいかないが、かつてあったものや、今もそこに在り続けるものにも目を向けることで、流行とは違った新たな発見が出来ることもあるのだと自戒を込めて書き記しておきたい。

 

個人的想像の範囲でとても安易であるが、遠野物語のような雰囲気をまとった作品であると感じました。