つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年繫忙期の読書感想文⑦ 航空自衛隊副官 怜於奈2 数多久遠:著 ハルキ文庫

自衛隊小説、副官のシリーズ2作目です。

 

航空自衛隊副官 怜於奈2 数多久遠:著 ハルキ文庫 個人蔵

 

各章のタイトルには「副官~」とついています。

自衛隊は未知の世界です。これまで様々な作品が刊行されてきましたが、副官という題材は新鮮でなりません。このような立ち位置の仕事は他の職場や業界でもありそうですが、自衛隊となると特別な意味を持ってきそうです。

 

ここで特に感じて欲しいのは、隊内での各種調整はもちろんのことですが、地域との調整や配慮が描かれていること。自衛隊とかかわりがない(または薄い)人たちにとって、自衛隊はどのように見られているでしょうか。

 

昨今、公務員がコンビニを利用した「だけ」で苦情が向けられるなど、状況は異常化しています。公僕と言えどひとりの人間に対してここまでのことが出来るほど、人間は非情になれてしまいます。その中でも、薄氷を踏むようにして自衛隊は日々奮闘しているのだなと思うと、頭が下がります。自衛隊は現在日本における究極の「予防線」になっていますが、「予防」であるからこそ、その効果を確りと測ることは難しいです。だからこそ、「不要」と声高にする人は少なくないです。

 

自衛隊に限ったことではないですが、スーパーやコンビニでも、その場所に「いらない」と判断され撤退したら、何かが一気に衰退していきます。不要を叫ぶということは、そういったことを「生む」ということにつながります。代替案が見えないまま、不要のみを叫ぶのは、愚策でしかありません。いろいろと議論は残っていますが、なぜ今ここにあり続けているのかを、しっかりと考えていく必要がありそうです。