つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年繫忙期の読書感想文⑭ 横道世之介 吉田修一:著 文春文庫

新たな青春小説の王道が誕生、といったところです。

 

横道世之介 吉田修一:著 文春文庫 個人蔵

 

 

吉田修一さんの作品は映画になりやすいんですね。はじめて知りました。

 

横道世之介はその後シリーズ化され、現在では完結編が上下巻で刊行されています。

本書はシリーズ1作目になりますが、1作目から衝撃のラストが待っています。

こんな展開ありかよ!と思わず口にしました。

 

しかしながらそのラストを迎えるまでは、純血な青春小説といった感があります。

主人公の横道世之介は、生き方がうまいわけでもなく、特徴といった特徴がないのが特徴の、ざんねんな青年ということになるでしょうか。そんな彼も恋をし、仕事と生活に追われ、普通には遠いかもしれない日常を生きていきます。決して楽ではない生活であっても、それを楽しむ光景を見ると、自分の若かりし頃を思い出してしまいます。世之介という存在は、そんなところに影響を及ぼしているのかもしれません。

 

本書は1か月区切りで章立てされております。

彼の生きざまと希望を、シリーズ通して見届けたいと思います。