つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年10月の読書感想文⑮ 墨のゆらめき 三浦しをん:著 新潮社

三浦さんは本当にずばっと刺さる作品を出してくれます。

なんだかもう外せない作家さんの一人になっています。

 

墨のゆらめき 三浦しをん:著 新潮社 個人蔵

 

 

まずこの本は試みが施されており、書籍と朗読による共同企画とのことです。

オーディオブックという呼び方だと思いましたが、昨今そういったコンテンツが普及していることを見ていくと、本はどんどん「聴く」ものになってきているようです。

古典や名作も展開しているようですから、読書の新たな可能性を見ている気がします。

 

 

さて今回のお話は「書」。つまりは「書道」になります。

おお、と思わず声が出てしまいました。

テルマンと書家の話になるのですが、主人公のホテルマンが勤めるホテルが仕事として書家に様々な仕事の依頼をしてきているというのが背景にあるのですが、ホテルマンが書を学びはじめることによって、書の世界が少しずつ紐解かれていきます。

 

以前よりも書の世界は、身近になってきたように思います。

書道甲子園をはじめとした特別番組がテレビで放映されるようになったり、地域の高校生のパフォーマンスがあったり、書の展示を見る機会も多くなりました。しかしながらその背景の多くを知らないため、どれだけの努力や研鑽を積んできたのかまでははかり知ることが出来ないのです。かつては書道マンガもあり(とめはね!)、書の世界は一定の活気を得ることが出来たと思います。しかしながら道の世界は、様々なところにつながっているんだなと気づかされましたし、どのような人でも突き詰めるものがあって欲しいなと、この本を読んで思いました。