令和5年10月の読書感想文⑰ グラミンフォンという奇跡 ニコラス・P・サリバン:著 東方雅美・渡部典子:訳 英治出版
ビジネスはこうありたい、と思った一冊です。
グラミンフォンという奇跡 ニコラス・P・サリバン:著
東方雅美・渡部典子:訳 英治出版 個人蔵
バングラデシュにおけるケータイの普及を追ったドキュメント。
主人公は同国出身の男性で、アメリカに留学し金融業界で活躍していたものの、祖国に戻ることを選びます。祖国に戻ってやろうとしたことは「ケータイ」の普及でした。
今であれば自然に広がると思われがちなケータイですが、途上国ならではの課題もあり、普及のスピードは上がりませんでした。本書はバングラデシュの文明にも触れながら、近代化の波を抵抗なく受け容れてもらうための企業努力を追った、読み応えのある一冊になります。
勝手な想像ですが、企業の存在意義としては、社会問題を解決することにあると思います。現代では社会起業家という呼称もありますが、仕事の行先は大なり小なり社会問題の解決に向かっていると感じています。その基本を思い出させてくれ、そしてその面白さを語ってくれているのが本書。楽して稼ぐのが目的ではないのです。SNS上でアピールしている「自称」の人たちは、その辺から違ってきますね。
ケータイの普及を推進したことがきっかけになり、大きな山が動くところまでを追体験できるのが凄いところ。これは映像化しても面白いんじゃないかなと思いました。