塩田さんの作品はどことなく好きです。
デルタの羊 塩田武士:著 KADOKAWA 個人蔵
アニメーション制作にかかわる人たちのお話ですが、ここでまず触れられるのはアニメーション制作の構図についてでした。
現在は様々な事情が絡んできていることから、アニメ制作に関する組織建てが変わっているようです。それは原点と言えるアニメーション本編と、そこから派生するグッズ等の商品の関係性が重要視されます。
そしてエンドクレジットを見ても、今では普通に制作に外国人が関わっています。
これは造り手に外国人が加わったというのと、資本の提供が大きく影響していそうです。そういった「様々な事情が入り組んだ」中で作られる作品ですが、以前よりも盤石、というわけではなさそうです。それは純粋にアニメ制作が好きな人たちを蔑ろにする結果でしかなく、このままでは文化としての、産業としてのアニメーションはなくなってしまうのではないかという不安をもたらします。
本編はその「様々な事情」に翻弄されながらも、「作りたい作品」をどうにかして世に送り出したい人たちの物語です。クリエイティブな面ばかりが見えてくるのが産業の常ですが、アナログで泥臭い部分も必然的に介在しています。それはこの業界に限らず、どの分野にも言えることだと、読んでいて気づきました。そして、これからはもっとアニメーション作品を見ていこうと思います。だって純粋に面白いですから。