つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年11月の読書感想文⑪ もしも、私があなただったら 白石一文 文春文庫

こういう恋愛もあるのか、と不思議に思った本でした。

 

もしも、私があなただったら 白石一文 文春文庫 個人蔵

 

 

かつて勤めていた会社を辞めて自営業として働いている主人公にある日、元同僚の奥さんが現れます。この元同僚ですが、かつて勤めていた会社での粉飾決算にかかわっているということで、厳しい立場に立たされています。そんな中その人の奥さんが目の前に現れたのですから、混乱しないはずもありません。そして奥さんの口から出た言葉にも、衝撃を受けてしまいます。

 

主人公は独身であり、元同僚との絆があるため、当初は知人として接していくことになりますが、元同僚の身辺に動きがあると同時に、主人公周辺にも大きな動きが出てきます。その渦中にある心情の移り変わりを感じ取ることが出来る作品になっています。

 

 

まずこんなシチュエーションはないだろうと思いつつも、かつての友人のというのは、あり得る話です。そして100%は難しいですが、サポートをしてあげなくてはという気持ちになるのももっともです。肝心なのは男と女がどういったときに感情を結び合うのかということではないかと思います。複雑な環境でも、どうやって結ばれていくのか。様々な背景が人心に影響していくさまを、読み取ってもらえればと思いました。