令和5年師走の読書感想文⑮ 悪魔のコーラス モモコグミカンパニー:著 河出書房新社
【元】になってしまった、BiSHのあまのじゃく担当:モモコグミカンパニーさんの小説第2作になります。悪魔というタイトルにふさわしいドギツさがありました。
悪魔のコーラス モモコグミカンパニー:著 河出書房新社 個人蔵
かつて父親が勤めていた由緒ある学校への転校をした主人公ですが、この転校に主人公は乗り気ではなく、母親の強い勧めで決めます。なぜならその学校は亡くなった父親が勤めていた学校だから。そして伝統校だからというものでした。
主人公はその後、伝統校が伝統校である所以の「合唱部」に入部します。
最初は適当に過ごしていこうと思っていたのですが、伝統校らしい人間関係が主人公を取り囲みます。その中で目にした不穏な出来事がきっかけで、この学校に疑念と不信感を抱きます。そして主人公はその年齢では重すぎるであろう、衝撃の真実を知ることになります。
読んだのはつい最近でしたが、どうにも重なってしまう世間の出来事がありました。
伝統を重んじるあまり、何かを蔑ろにしてしまうという実例が、小説の中ではなく現実の出来事として証明されてしまいました。モモコさんの小説に描かれていることも充分に衝撃的ですが、現実世界の出来事がよほどおぞましいです。正直、モモコさんのデビュー作からこの2作目への拡がりを予想することはできませんでした。個人的に、モモコさんが密かに抱いてきた「猛毒」があり、この作品で一気に吐き出したのではないかと。
モモコさんの次の作品はどうなるでしょう。
もしからしたら、何かしらの賞にノミネートされるかもしれませんね。