なかなか面白い自然関連の本でした。雨でこんなにも広げられた世界は格別です。
雨の自然誌 シンシア・バーネット:著 東郷えりか:訳 河出書房新社 個人蔵
中々に厚い本となっていて、正直「そんなに書くことがあるのだろうか」と思ってページをめくってみたら、これが面白い。雨という自然現象に囚われず、雨にかかわる様々な立場の人や土地に関しても記述されており、自然の書ともいえるし、文明の書ともいえる感じがします。そして雨を望む姿勢については古今東西どこも同じようで、雨を降らせようとした人たちについても触れています。
この本はどんな本かと問われれば、「雨に魅せられた人たちの物語」と言っても外れではないと思います。雨という自然現象にも触れていますが、雨を信仰の対象や、芸術としての対象として見る人もいます。とらえどころのない存在ですが、人々にとってはとても大きく偉大な存在であることが本書を通してよくわかります。そしてなんだか、こういう映画があってもいいなと思える作品です。