昭和29年刊行。その後増刷を繰り返し、現在百刷を超えている本です。
三木清は激動の戦争時代を生きた学者で、プロフィールを読むとたびたび当時の当局に検挙されていたようです。哲学者だと思うのですが、西洋思想を学んでいたからなのか、当時は世間が受け容れることを拒否していたようです。
哲学書はその内容がわからないとしても、何らかの示しという種を植えてくれます。
この本が長く刊行されているということは、それだけ種を植えてくれているということになるのだと思います。
本書は全部で23題、三木清による論文が記されています。
現代のような飾りはない中での自己表現は、まっすぐに読者のもとに届きます。
このような言葉こそ、人を集めるのかなと思いました。