令和5年師走の読書感想文⑤ 砂嵐に星屑 一穂ミチ:著 幻冬舎
現実のような幻想のようなタイトルに惹かれて購入しました。
最近気になった本を手に取ってみてみると、女性作家のことが多いです。
それはその作家さんが「きている」からなのか、今の自分の心情にハマる作品だからなのかはわかりません。でも作家名を見ると、やはり今ぶいぶい来ている方なのです。
本書は季節に合わせた4篇を収録。
頁を開いて読んでみると、メディア関連の仕事の話だというのがわかります。
そこに勤める人の人間関係や、そこに付随する人との人間関係を「見る」お話に見えます。お仕事小説にも見えるのですが、結構ナチュラルに人間性が見えてきます。ときにライトに、ときにヘビーに。しかしながら、重いと思わないのです。引き込まれると言いますか、共感のような感情が生まれます。
本書で登場する人たちはどこか「最前線から外れた」人たちのように見えます。
しかしながら、毎日を生きるのには必死で、これは人類の共通事項だと言えます。
失敗、と片づけていいのかはわかりませんが、何かしらの大きな山を越えて来たからこその見え方があり、感じ方があります。この作品はどこか憎めない、そしてエールを送りたくなる作品なのです。