つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年師走の読書感想文⑩ JAZZ JAPAN Vol.156(最終号) 三森隆文:編集長 シンコーミュージック・エンタテインメント

突如156号で最終号となった、月刊のジャズ雑誌になります。

その報せは突然もたらされましたが、最終号を読んで個人的には一安心しました。

 

JAZZ JAPAN Vol.156(最終号) 三森隆文:編集長 

シンコーミュージック・エンタテインメント 個人蔵

 

 

スウィング・ジャーナルから受け継がれてきたものを連綿と伝えて来た雑誌が、突如休刊となりました。

しかし後進がこの流れを受け継ぎ、新たなる雑誌を誕生させたことが本誌によって報告されています。

 

事の次第を知ったのは、発売日になっても新刊情報がなく、不思議に思って公式ページを覗いたのです。そこには編集長であった三森さんが急逝されたこと。その影響で刊行が大いにずれこむということでした。

 

これは読者としても衝撃ですが、一番衝撃なのは関係者です。

 

その後最終号は刊行されました。慣れないなかでの編集だったのではと想像するのですが、こんなにも暖かい雑誌が生まれて三森さんもさぞ安心されたのではないかと思い餡巣。

 

表紙は注目のトランぺッターである松井秀太郎。デビューアルバムには大御所の名前も連なっています。その他は発掘音源の紹介のほか、レギュラーコーナーの展開。

その間に挟めるように、読者のみなさまへと題する報告と新雑誌創刊の連絡。

この雑誌は156回続けられてきましたが、ここに来て初々しい熱を感じました。

反面、どうしても悲しくなるのは、各コーナーで編集長への惜別のことばが綴られていること。ああ、この雑誌は終わってしまうんだなという勿体なさが残ります。

 

しかしながら、ジャズは日進月歩です。一時期は死んだとまで評されましたが、今また大きく羽ばたいています。そして、それを伝える人たちも代替わりしなくてはなりません。今回は本当に唐突のことで悲しむ暇がないかもしれませんが、読者を含め、わたしたちはこの想いを継がなくてはなりません。ジャズが好きであるという以上は、ジャズの灯りをともし続けなければならないのです。

 

 

雑誌なのに、涙せずには読めませんでした。

雑誌なのに、熱い思いを感じずにはいられませんでした。

JAZZ JAPANは、雑誌におけるジャズです。

このジャズが、次の雑誌においても続いていくよう、応援したいと思います。