つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年師走の読書感想文⑲ シベリアの森のなかで シルヴァン・テッソン:著 高柳和美:訳 みすず書房

現代においてこのような記録を読むことができるというのは、ひとつの救いかもしれません。

 

シベリアの森のなかで シルヴァン・テッソン:著 高柳和美:訳 みすず書房

個人蔵

 

冒険家・作家である著者はバイカル湖(ロシア南東部)の小屋で半年間を過ごした記録になります。その環境はシンプルですが、逆に言えば過酷です。その描写はとても自然的で厳かで、それでいて挑戦的に見えます。人間がその場所で追い詰められずに過ごすというのは、ほぼ無理かもしれません。でもそこに何らかの希望や救いを求めてしまうのは、こういった生活にあこがれを感じるからなのかもしれません。

 

記録は2月から7月のあいだで、季節の移り変わりとその季節の厳しさが描写されています。そこには人間の素直な感情も残されており、人間の本性を見るようです。かつてこのような生活に近かった時代があったはずですが、現代は想像もつかないようなものになっています。ただ、昨今は災害が増えています。余暇にはなりませんが、このような状況で過ごすことがあるかもしれないことを念頭において、予行演習のつもりでこのような環境に身を置いていきたいなと思いました。