北海道新聞2023年12月16日の総合面3面に「秋田洋上風力地元理解半ば」という見出しが載りました。
洋上風力を改めて知る
海上に風車を建設して発電することをいい、再生可能エネルギー導入拡大の切り札として推進されているようです。秋田県の洋上風力は国内初の大規模発電拠点となっており、一定の経済効果が出ている一方で、地域住民への理解はなかなか進まないとの記載でした。
現在計画されている北海道での洋上風力ですが、記事を参照すると
・石狩市沖:11件
・島牧沖:3件
・檜山沖:3件
で環境アセスメントを実施している事業者がおり、
岩宇・南後志地区沖と松前沖では有望区域とされているものの、環境アセスを実施している事業者はゼロとなっています。
洋上風力の現在と未来は
洋上風力は能代港で行われていますが、漁業がさほど盛んでもなかったため、目立った反対は生まれず事前にかなりの設置に対する理解が生まれたようです。現在の稼働状況は順調とのことですが、地元はシャッターが目立つ街中になっており、行政はエネルギー産業に舵を切った効果が出ているようです。この計画に対して幾つかの考えを持っているようで、風車の見学ツアーなどを企画して観光振興につなげたいとしています。
しかしながら不安材料もあり、風力発電建設や稼働に対する収入がどのように変わっていくかというのがあります。工事期間中は近隣のホテルは満室になり、周辺のお店は賑わいを見せると思いますが、それは工事が完了するまでの間であり、新幹線工事等と同じ条件です。また、雇用も地元を中心に30人との記載がありましたが、正直少ないと感じました。雇用が生まれること自体は歓迎ですが、大きな規模での雇用が生まれないと、行政としても厳しいのではと感じます。
その他、恩恵をもらえるところは限定的との話があります。つなりはまんべんなくマチは潤わない。マチや行政が考える経済の波及と、実際の工事に稼働におけるミニマムに近づけた工程は、実際かなりの差を生んでいるのではと思います。自然環境に関する学びや疑問も生まれており、オールグリーンとなったわけではないようです。再生可能エネルギーを連呼する人たちは実に多くなりましたが、その施設を造る必要があります。事業者の理解と住民の理解がイコールになることが望ましいですが、その溝を埋めるのは工事及び稼働よりも大変だと思います。そうなるともう、犠牲ありきなのかと考えてしまいます。
わたしたちは古来より、自然環境を切り開いて産業を発展させてきました。中には破壊だと叫ぶ人もいますが、それが人間の賢明さであり愚かさでもあります。自然環境を切り開いた開発は、なくなることはありません。生きていくためには必要なことだと感じます。原始的かつアナログな生活を全体にさせることには限界があります。小人数が行っている程度であるからこそ、いろんな議論が生まれ、学びも得ることが出来ます。今は、その程度でいいと感じるべきでしょう。何も差し出さずに何かを得たいという考えは、夢であることがほとんどです。そのことを知って、北海道における洋上風力の話を継続してみていきたいと思います。