とても強い、いいタイトルだなと思い購入しました。
「わたし(から)はこの会社を辞めません」
このワードが強く残る作品です。
現代であれば、「こんな会社辞めてやる!」的な要素が多いはずなのですが、この作品は逆。どんな境遇にされようが、その場所で頑張ろうと努力する人の物語です。舞台は人材派遣会社になるのですが、営業力がものをいう場所になると想像します。そこで結果を残せなかった人たちがいわゆる「窓際」としてひとつの部署に追いやられ、自主退職を迫られるといったような設定です。
閑職に追いやられれれば自己都合退職、と言った流れを想像しますが、この作品はそのような流れに抗う構図があり、少なからず胸に響きます。極論ですが、「辞めたい会社がある」いっぽうで「この会社を辞めない」というのはどういうことなんだ、ということです。愛着があるかどうかは別かもしれませんが、その場所で十分に自分のやりたいことができていないとするならば、「それでも会社は辞めません」と、自信をもっていえるのではないだろうか、と考えています。これは働く人すべてにふりかかる課題だと思います。
ぼくの場合ですが、過去にいた会社は、限界を感じたとか、体調を崩したとか、気持ちが折れた等の理由で辞めてきました。現在は長く勤めていることが出来ていますが、果たして上記のような強い気持ちを持つことが出来るのは、いつまでだろうと自問することがあります。働くとは永遠の課題であり、永遠の自問自答のような気がします。
理不尽な波は、いつもどこからかやってきます。
その波をどのように受け止めるかで、ひとの心は決まっていくのだと思います。