なかなか難しい感じの本です。ただタイトルにジャズという文字があったので、読んでみようと思いました。
女性ジャズミュージシャンの社会学 マリー・ビュスカート:著
中條千晴:訳 青土社 個人蔵
原書の刊行はかなり前ですが、日本での刊行はつい最近。いま注目を集めている諸問題という予備知識があるからこそ、この本は読めるのではないでしょうか。
才能や技術があれば、ジャズの世界でも男女の違いなんてと思っていたのですが、本書を読むとどうやら暗雲が立ち込めてきます。ジャズという音楽を演奏するひとたちにおいても、何かを蔑むという行動は附属されてしまうようです。それは悲しみの連鎖に他ならないと思うのですが、そこには穿った「伝統を守ろうとする行為」にも思えます。ジャズは音楽でありますが、与えた影響は社会学やそのほかの分野にも伝播します。人種問題もあるでしょうし、文化の問題でもあります。そこを理解していかない限りは、戦争や紛争同様、このような問題も解決の道筋はたちません。平和や平等や権利を唱えている人たちの内心にも、このような考えや感情はあるべきと考えるほうが自然です。
社会学は解決のための学問です。もしくは解きほぐすための学問です。
ジャズはもう、壁はないように思えます。完全になくなったといえる状況を待ち望みたいと思います。