ブレイディみかこさんの本が好きな人には向いている、考えさせられるお話です。
サード・キッチン 白尾悠(しらおはるか):著 河出文庫 個人蔵
この本を読もうと思った経緯は忘れてしまったのですが、読んでみて、なるほど、そういうことかと得心が行きました。
マイノリティ。
いま世間では、この言葉が飛び交っています。
それが正しい使われ方をされているのか、ぼくにはわかりません。
ただ、僕なりの方法でわかっていかなくちゃならないなと思っています。
そんなことから、この本を手にしたのだと思います。
アメリカに留学した主人公は、マイノリティが集う学生食堂「サード・キッチン」に招かれます。そこに呼ばれるというのもアメリカらしいなぁと思う反面、学生の世界はマイノリティよりも差別や偏見が根底に蔓延っていることを痛感します。多感な時期だからこそなのでしょうか、考えやプライドを主張する声は強く、相手が委縮するほどです。その中でマイノリティはどのような立ち位置を獲得していくのか、どのように支え合っていくのかを学ぶ作品だと感じました。
地方に来れば来るほど、マイノリティは見えづらくなります。
逆に、隠れた差別や偏見はあるかもしれません。
都会だからこそ、地方だからこそという理由はないように思えるかもしれませんが、このような話題を得意げに話す人は、ひょっとしたらそれらの上に立ちたいだけの人ではないか、という気がしています。
この本は、時期をおいて繰り返し読みたい本です。理解を進めるためには、何回も読んでいく必要を感じた、バイブルだと思います。