読後に思ったことは、この本のタイトルをつけたことが凄いと感じました。
声の在りか 寺地はるな:著 角川書店 個人蔵
いわゆる「学童」が物語の舞台ですが、そこを利用するこどもたちには様々な事情が隠れています。それはこども自身の問題であったり、親の問題、子の周りの問題など様々です。ぼくがこどもの頃よりも、現代がもっと大変だろうなと想像がつきます。子や親、その周りにいる人たちとの対応や対話を見ていくと、「その声はどこからきているのだろう」と思うことがあります。反面、誰かの声を置き去りに、つまりは無視を決め込んだりする現実もあります。
声の在りか、とは、よくぞ言ったという感じがしました。
抽象的ですが、その声が在るところが、人と接するうえでの心構えといった、大事なものが置かれているポイントのような気がします。しかしながら現代はそれを無視する人が多いです。なぜなら自分を優位に見せることしか考えていないからです。転落すれば一気に底辺です。その恐怖を知ってか知らずか、今にすがりつく姿が悲しく見えます。
その声を求めて奮闘する姿を、どうか感じてください。