つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和6年3月の読書感想文⑳ 現代語訳 老子 保立道久(ほたてみちひさ):訳・解説 ちくま新書

こういった古典も読み進めてみようと努力しております。

 

現代語訳 老子 保立道久(ほたてみちひさ):訳・解説 ちくま新書 個人蔵

 

 

老子は有名な中国の古典になります。幾つもの解説書や現代語訳があると思います。

本書は現代語訳になりますが、原書(原文)も記載されており、漢文の勉強にも向いております。そのいっぽうでコラムも充実しており、老子という書の存在のみならず、そこに付随する物語も補完することが出来ます。本書は新書ですが、かなりの厚さになっています。

 

老子という書はとても有名なものですが、論語などと並び、そこに精通した人は現代では少ないのではと感じます。というのも、トピック的な扱いでかんたんに解釈する人が多くなったように思いますし、それが世相にも反映しています。または、こういった書の解釈を独りよがりなものに向けているかのどちらかになります。

 

老子は哲学の書であり、倫理の書でもあります。または、それらではカバー出来ないほどのエネルギーを携えた書ともいえます。これまではこういった哲学を土台とする人が多くいたと思いますが、現代ではまったく違うものが台頭していると感じており、旧来の考え方は後退しているように見えます。しかしながらここには人間の原点が描かれており、否定されるものではないと感じています。現代では読者を煽り、煌びやかに魅せることだけを考えた言葉が多く存在してしまいましたが、古書にはそんなまやかしは一切ありません。古来の考えにこそ、忘れてはならない大事なことが埋められているのだと信じてやみません。神話から世直し、人の上に立つ人のことまで網羅した書を、これからも読み重ねていきたいと思います。