つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和6年3月の読書感想文㉓ どうしようもなく辛かったよ 朝霧咲(あさぎりさく):著 講談社

御書印集めの際に購入した本になります。完全ジャケ買いです。

 

どうしようもなく辛かったよ 朝霧咲(あさぎりさく):著 講談社 個人蔵

 

第17回小説現代長編新人賞受賞作ですが、作者は受賞時高校三年生、刊行時は大学一回生とのことです。とんでもない新人が出て来たんだなという感じです。

 

中学生の物語。

夢中になれる部活があり、楽しい毎日がそこにある。

それが続けばよかったのですが、部活の顧問が異動したことによって、これまで上手に整えられていた何かが歪んでいく様を、青春の1ページとして捉えることが出来ます。その心苦しさ、つまり「辛さ」は、全世代に通じるメッセージになると感じました。帯の裏には「これがZ世代の等身大青春小説」との見出しがありましたが、ZからAに通じる青春があると感じました。進路や友達との関係性は、文明の利器があるなしに古来から連綿と続いています。この作品で改めて提示することによって、過ごしてきた時間とこれから迎えるであろう時間に「立ち向かう」準備が出来るのかなと感じました。

 

ぼく自身の中学時代はなんにも面白いことはなかったけど、やはり思い出してしまいます。この作品は扉のような存在感を放つ、学校指定のカバンに教科書類を詰め込んだクソ重くて蒼い作品なのだと思います。