つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年12月の読書感想文⑥ 玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ 木下龍也・岡野大嗣:著 ナナロク社

帯には「男子高校生ふたりの七日間をふたりの歌人が短歌で描いた物語」とあります。

交互に詠まれた二百十七首は、独特の青春の匂いを持ったものとなりました。

 

 

玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ

 木下龍也・岡野大嗣:著 ナナロク社 個人蔵

 

木下龍也さんの短歌に興味をもっての購入になっています。

いや、短歌面白い。すごい。震えます。

 

本書は七日間とあるとおり、7月のある日の七日間を章として設定し、短歌が収められています。こういった試みも面白いですね。創作という部分において、背中を押される気がして心地よいです。

 

また本作日は舞城王太郎さんによるスピンオフ小説2篇が特典として挿し込まれていました。

 

短歌の一行がこれほどの瑞々しさと力を持ち、文字でびっしりな頁に引けを取らない展開をもたらしてくれるとは、考えても見ませんでした。楽しくも辛い生み出しかもしれませんが、朧げなものをことばとして確かなものにするその作業そのものが、ぼく自身はとても好きです。ことばを編むひとりとして、勧めたい一冊です。