令和5年繫忙期の読書感想文⑯ 我が家のヒミツ 奥田英朗:著 集英社文庫
我が家の秘密、考えたことはあるでしょうか。
ぼくはあまり、考えたことはありませんでした。
6編の家族小説。家族ではなく、その家の誰かが、どこかで経験した出来事に対しての秘する想いだということに気が付きます。
家族間のことでもあり、家の誰かが外で体験したこともある。
ありそうで実はある、そんなリアリティある話を染みわたる文章で綴っています。
個人的に響いたのは「正雄の秋」。
出世競争とは無縁の場所に今はいますが、かつてはそれを意識して頑張っていた、若かりし頃がありました。自分の過去の経験とつい重ね合わせてしまいそうな物語が、この作品にはどうもあるようです。